江陵ナイン意地と執念で戦い切る「人生で勝利を」高校野球支部大会

2020/07/27 11:13 十勝毎日新聞電子版
高校野球の夏季北海道大会北北海道大会十勝支部大会は最終日の26日、Dブロック代表決定戦に臨んだ江陵が、昨年秋の全道王者で来月の甲子園交流試合に出場する白樺学園に堂々の戦いを挑み七回コールドの0-9で敗れた。来春閉校の江陵にとって最後の試合。江陵の最後まで諦めない戦いぶりは十勝の高校球史に刻まれた。(北雅貴、金野和彦)

◆初回から闘志、意地と執念で最後の攻撃も展開
 3点を取らないとコールド負けが決まる七回の攻撃。江陵の意地と執念が詰まっていた。2死一塁から1番打者の岩崎壮瑠(3年)は、2ストライクから低めの変化球を空振りしたが振り逃げで一塁に。さらに2安打を放っていた千葉周平(同)も、フルカウントからボールを見極め四球を選ぶと打席で雄たけびを上げた。千葉は「仲間から『お前ならいける』と励まされた。まだ試合は終わっていない。次につなげたかった」と振り返った。得点できなかったが目の前の一投一打に必死に向き合った。

 初回から江陵ナインは元気いっぱいだった。高めの球を狙い、プロからも注目される白樺学園の片山楽生から痛烈な安打も放ち食らいついた。ただ、昨秋と同じく失策に泣いた。3失点のイニングを3度つくってしまっては勝機を見いだすことは難しかった。

 来春に閉校するため、敗れた時点で最後の試合になるこの夏。初戦の清水戦では緊張でがちがちだった選手たちはこの日は違った。「楽しんでいるか」。合言葉のように何度も何度もグラウンドに響き渡った。

 組み合わせ抽選で、白樺学園と対戦する可能性が高くなった。谷本献悟監督は「人間力とは何か」を問うプリント用紙を配った。そこには、うまくいかなかったり困難に直面したりした時にどう楽しめるかが人生において最も大切だと記されていた。敗戦後、先発の永島翼(同)は「悔しいが楽しむことはできた」と胸を張った。

 尾崎太郎主将(同)は「もう試合で勝つことはないが、今後の生活で谷本監督の教えをしっかりと実行することで恩返しになると思う。人生で勝利したい」と大粒の涙を流しながら、次の舞台での奮闘を誓った。


涙をこらえ、保護者たちに感謝を伝える尾﨑太郎主将(手前)とナインたち(26日、金野和彦撮影)